いつかシウミンとグラスを

三年前、シウミンを知りました。

むねに見えないナイフを しまってる シウミンを知りました②

 

 

 ちょっと、いい機会だから、K-popに嵌ってみよう。なんて。

 その余裕がなくなったのは、後半だった。 

 別れていくんだね?何で別れるのか、よくわからなかったけれど、蝶の中を舞う少年は、本当に綺麗だった。 

 でも、そこに本物の天使がいるとわかったのは、そのさらに後、「Paper Cuts」だった。

  

  眠れない理由に 気づかないふりをした

  僕らは この手で 明日を切り開くため  

      〔歌詞:Uta-Netより〕

 

静かなピアノの和音の後、ベッキョンが、とてもとてもやさしい表情と声で歌い出して、ああ、いい曲だな、と思った後、シウミンが歌い継いだ。

 

  胸に見えないナイフを しまってる

 

それを聞いた途端、何かが溢れそうになった。そう、なんだよ。そうなの。必死だったんだよ。それを、君はそう歌うんだね。ナイフって、凄く尖って冷たい言葉なのに、シウミンが歌うと、とても大切な温かなものになる。そのナイフ、私ももってる。もっているよ。 

ベッキョンが声を詰まらせてしまった時、私にはシウミンが何かを決意して顔を上げたように見えた。やさしいけど強い瞳で。ああ、この人がシウミン。そう思ったら、泣いていた。ここに、天使がいる。真摯に、思いを込めて歌う天使。さっきのフレーズを、ほかの二人が歌っても、きっと素敵だった。でも、私には、この甘くて優しくて強い声が必要だった。 

その後は、この温かくて楽しい時間が、終わらないことばかり祈っていた。白い天使は、その後もノリノリで踊っていたけれど、それはそれで、3人とも最後まで最高にかっこよかったけれど、私は胸に溢れそうになるものを抱えるのに、必死だった。